愛の鳩賞
2025年度「山新放送愛の事業団愛の鳩賞贈呈式」が行われました(2026年3月5日)
地域福祉活動に尽力した2団体をたたえた2025年度愛の鳩賞贈呈式=山形市・山形メディアタワー(撮影・山口竜昇)
愛の鳩賞(主催・公益財団法人山新放送愛の事業団、山形新聞、山形放送)の2025年度贈呈式が5日、山形市の山形メディアタワーで行われた。地域福祉の向上を目指して地道な活動を続けてきたNPO法人ふれあい天童(天童市)、NPO法人ぼらんたす(鶴岡市)の2団体をたたえた。
受賞した2団体は、県民から寄せられた推薦5件の中から選ばれた。ふれあい天童は日々の困り事を会員同士で助け合う有償ボランティア団体で、居場所づくりにも取り組み、住民主体の助け合いの輪を広げてきた。ぼらんたすはボランティア人材の育成や自殺予防のカウンセリング、子ども食堂など、時代の変化に合わせた幅広い支援活動を展開している。
贈呈式で、愛の事業団理事長の佐藤秀之山形新聞社長は「地域の課題解決に向けて支え合う仕組みを構築し、地域福祉の増進のため、地道な活動を続けてこられたことに敬意を表する」などとあいさつした。
続いて、選考委員長の松田直樹山形新聞編集局長が選考経過を報告した。佐藤理事長が賞状と副賞を、板垣正義山形放送社長がレリーフを、受賞者に手渡した。来賓の菅原正春県健康福祉部次長が吉村美栄子知事のメッセージを代読した。
受賞者を代表し、ふれあい天童の加藤由紀子理事長が「受賞を機に、生きづらさや悩みを抱えている人たちに寄り添い、安心して暮らせる社会づくりにより一層取り組む」と謝辞を述べた。
来賓として他に、玉木康雄県社会福祉協議会長、蜂谷拓郎天童市保険給付課課長補佐、石井美喜鶴岡市子育て推進課主幹が出席した。
(伊藤律子)
愛の鳩賞 受賞2団体のプロフィル
2025年度「愛の鳩賞」に県内の2団体が選ばれた。
NPO法人ふれあい天童(天童市)は1993年に発足。誰もが安心して地域で暮らしていけるよう、介護保険制度ではカバーできない日常の困り事を含め、住民同士で助け合う有償ボランティアや居場所づくりに取り組む。
NPO法人ぼらんたす(鶴岡市)は2008年の設立以来、「ボランティア」をキーワードに人・まち・地域づくりの推進に励む。ボランティア人材の育成や居場所づくり、自殺予防など福祉課題に応じた幅広い活動を展開する。
公益財団法人山新放送愛の事業団と山形新聞、山形放送が主催する「愛の鳩賞」は、地域福祉の向上を目指して地道な努力を続ける個人・団体を1980年度から顕彰している。2025年度の選考委員会が2月6日に山形市の山形グランドホテルで開かれ、推薦があった5件を審査。活動実績や継続性、将来的な広がりなどを基準に協議した。受賞した2団体を紹介する。
(伊藤律子)
NPO法人ふれあい天童(天童)―日々の困り事、会員同士が助け合い

住み慣れた場所で安心して暮らせる地域を目指して−。天童市のNPO法人ふれあい天童は、掃除や洗濯、送迎など日々の困り事を会員同士で助け合う有償ボランティア団体だ。「できることは何でもやる」を合言葉に、公的サービスなどではカバーし切れないさまざまな生活支援を30年以上にわたり、実践している。居場所づくりにも取り組み、活動や理念は全国へと広がっている。
活動の原点は、加藤由紀子理事長(78)の実体験にある。第3子を妊娠中の33歳の時、同居する夫の両親と伯父夫婦の4人の介護が始まった。当時は介護保険制度がなく、教員を辞めて介護に専念。周りの声を聞く中で「私一人の課題ではなく、社会の課題」だと気付き、助け合いの仕組みづくりを決意した。
12年に及ぶ在宅介護を終え、1993年にふれあい天童を設立。利用者が遠慮なく頼めるよう、当時は一般的でなかった有償の仕組みを導入した。会員が支援を受ける側、提供する側の双方になれる“お互いさま”のシステムは共感を呼び、現メンバーは40〜90代の約150人に上る。
2006年から、誰もが気軽に集まることができる居場所「の〜んびり茶の間」を始めた。昼食会や語らいなどを通し、住民のつながりを育む。生きる意欲や喜びが湧き、認知症の症状や要介護度が改善するケースは珍しくない。地域の担い手育成にも力を注ぐ加藤理事長は「地域を良くしようと考え、行動する人を増やしたい」とほほ笑む。
(坂元かおり)
NPO法人ぼらんたす(鶴岡)―自殺予防カウンセリングや子ども食堂

NPO法人ぼらんたすは約18年間にわたり、自殺予防のカウンセリングや子ども食堂などの活動を続け、地域の居場所づくりに取り組んできた。「その人らしい生き方が尊重される地域」をビジョンに掲げ、誰もが孤立しない社会の広がりを目指している。
2008年に発足。庄内地域のボランティア経験者らが集まり、ノーマライゼーションに関する講演会、ボランティアスタッフの研修会といったイベントの企画からスタートした。15年、鶴岡市陽光町に活動拠点「楽家(らくや)」をオープン。「こころを元気にするプロジェクト」として力を入れる自殺防止サロンなどを通じ、さまざまな立場の声に耳を傾ける。
現会員は30〜80代の33人で、医師や塾講師、カウンセラーなど多様な人材が活躍する。家族で利用できる子ども食堂や無料の学習塾、女性専用の相談カフェなどを幅広く展開し、誰もが気軽に立ち寄れる交流場所として定着する。活動を手伝う地元の学生やスタッフ研修会の参加者の中には、県内で新しくボランティア団体を立ち上げた人がいる。ネットワークは着実に広がっている。
「悩みを抱える子どもや若者に諦めてほしくない一心で、地道に活動を続けてきた」と栗原穂子(すいこ)事務局長(69)は語る。周囲への相談をためらう人もいるが、「最初の一歩」として頼ってくれる利用者が増えたと受け止める。「助け合えるまちづくりのため、役割を果たしたい」と決意する。
(沓沢杏佳)
委員長=松田直樹(山形新聞編集局長)▽委員=広谷勝子(県地域福祉推進課長)飯野典朗(県生涯教育・学習振興課長兼郷土愛育成室長)中沢秀夫(県社会福祉協議会参事)押切あき子(新庄)原田智光(高畠)小林宏一郎(白鷹)安藤善宏(村山)今野誠(酒田)日下部泰子(寒河江)細谷由紀(東根)菅原繁(鶴岡)鈴木雅史(山形新聞取締役論説委員長)三浦重行(山形放送報道制作局長)▽事務局長=鈴木啓祐(山形放送常務経営管理局長)▽事務局員=矢作真也(山形放送総務部専任部長)
2025年度の愛の鳩賞の候補について協議した選考委員会=2月6日、山形市・山形グランドホテル


