助成事業
2022年度「愛の事業団福祉援助・助成の贈呈式」が行われました(2022年10月24日)
県内14の施設、団体などに備品が贈られた山新放送愛の事業団福祉援助・助成贈呈式=山形市・山形メディアタワー
山新放送愛の事業団と山形新聞、山形放送は、行政の目が行き届かない地道な活動を支援し、県民の善意を広く地域福祉に還元しようと、毎年、福祉援助・助成を行っている。22年度は18件の応募があった。
山新放送愛の事業団(理事長、寒河江浩二山形新聞社長・主筆)の2022年度福祉援助・助成の贈呈式が24日、山形市の山形メディアタワーで行われ、県内14の施設や団体などにノートパソコンやエアコン、ヘルメットなどが贈られた。
福祉援助・助成決定一覧表
○施設・団体への助成
番号 | 地区 | 名称 | 品目 |
---|---|---|---|
1 | 山形市 | 特定非営利活動法人 ふれあいにこにこの丘 |
エアコン1台(取付工事込) |
2 | 山形市 | 山形県障がい者スポーツ協会 | ボッチャレクリエーションシート2セット ボッチャボールセット2セット |
3 | 山形市 | 特定非営利活動法人 ハート・ルート・ドライブ |
カラー複合機1台 |
4 | 山形市 | 特定非営利活動法人 プチユナイテッドアスリートクラブ 「フリースクールあにまる」 |
エアコン2台(取付工事込) |
5 | 山形市 | 山形地域福祉事業所 陽だまり | ノートパソコン2台 タブレット端末2台 |
6 | 山形市 | 認定特定非営利活動法人 アジェンダやまがた |
木製書棚1台、テーブル1台 |
7 | 山形市 | 特定非営利活動法人 福祉ネットワーク山形 |
除雪機1台 |
8 | 山形市 | 居場所と学びの場づくりNPOぷらいず 特定非営利活動法人 山形わたげの会 |
エアコン2台 (共同利用の施設に設置・取付工事込み) |
9 | 中山町 | 特定非営利活動法人 柏倉家文化村 | エアコン2台(取付工事込) 家庭用冷蔵庫1台 |
10 | 南陽市 | 特定非営利活動法人 花未来 | 家庭用冷蔵庫1台 |
11 | 酒田市 | 多機能福祉施設こもれび | ヘルメット60個 (内、折り畳みヘルメットを40個) |
○全県的な範囲の催事・行事大会・団体への助成
12 | 全県 | 県内の視覚障害者の皆さんへ | 点字カレンダー700部 (山形県立点字図書館を通じ贈呈) |
○ボランティア活動・事業への助成
13 | 山形市 | 子ども食堂 うぃずゆう | ノートパソコン1台、デジタルカメラ1台 |
14 | 酒田市 | 子どもの自立を支援する会 SR会 | ノートパソコン1台、プリンター1台 |
山新放送愛の事業団 援助・助成先の14団体 福祉の心、県民の善意
山新放送愛の事業団、山形新聞、山形放送は2022年度の福祉援助・助成先に、高齢者の居場所づくりや不登校の子ども支援に取り組む施設・団体など14件を決めた。それぞれの活動に応じて必要な品目を贈り、県民の善意を地域福祉の向上につなげる。
行政の目が行き届きにくい部分を民間サイドからサポートしようと、毎年続けている。先月30日に山形市の山形グランドホテルで選考委員会を開き、申請のあった18件について▽支援によってさらなる福祉の充実につながるか▽緊急性や必要性があるか−などの観点から議論した。
22年度援助・助成先のうち、5団体の活動を紹介する。
「ふれあいにこにこの丘」(山形)
社会参画通し支え合い
NPO法人ふれあいにこにこの丘(山形市、荒井智子理事長)は介護保険に頼らず、有償ボランティアという形で居場所運営や生活支援などに取り組む。「困った時は、お互いさま」を合言葉に、地域で支え合いの輪を広げている。
同法人は2005年に設立。居場所での講座開催のほか、旬の食材を使った弁当の配食、公的サービスでは対応できない外出支援や買物代行、見守り支援などを行う。65人いる会員に利用者と支援者の垣根はない。「元気で生き生きと暮らすためには社会参画が大切」と、それぞれが役割を担い、安心して暮らせる地域づくりに関わっている。
荒井理事長は「誰もが社会参画できる地域づくりの拠点になれば」と話した。
「ハート・ルート・ドライブ」(山形)
外出困難な人を手助け
NPO法人ハート・ルート・ドライブ(山形市)は、脳性小児まひの宮林正明理事長(58)=大石田町大浦=が、障害者の生活をサポートしようと2008年に設立。1人では外出困難な人を対象に買い物や通院、コンサートなどへの送迎、介助を行っている。
宮林理事長は高校卒業後に車の運転免許、1989年に二種免許を取得。資格を生かせる事業をしたいと考えた。農業を営み、収益の一部を活動資金に充てている。現在はスタッフ3人と活動し、会員は主に車いす利用者で山形、上山、天童、東根の4市で計25人。宮林理事長は「移動に困っている人が増えている。重度障害者が街中で健常者と一緒に暮らせる社会にしたい」と語った。
「陽だまり」(山形)
障害児の居場所づくり
山形地域福祉事業所陽(ひ)だまり(山形市、斎藤直人所長)は誰もが住みやすい地域を目指し、多彩な事業に取り組む。2013年の設立以来、利用者のニーズに合わせ、障害児を対象にしたデイサービスや高齢者サロン、子ども食堂、総菜販売などを手掛ける。
元々は小規模の保育所を運営していたが、保護者から「地域の中に障害児の居場所がない」という相談を受け、障害児向けのデイサービスをスタート。現在は小学1年から高校3年まで36人が利用している。
今年1月には保護者の要望もあり、予約制で総菜販売を始めた。地域住民も協力しており、斎藤所長(30)は「一緒に考えながら活動を広げ、よりよい地域をつくりたい」と語った。
「柏倉家文化村」(中山)
20代〜80代、自由に活動
NPO法人柏倉家文化村(中山町、飯野清治代表理事)は、空き家だった柏倉喜作家を活用して「みんなの居場所 岡縁里(おかえり)」を運営する。20代〜80代と幅広い世代が集い、好きなことを楽しんでいる。
2006年の設立当初は地区内にある「旧柏倉九左衛門家住宅」周辺の文化振興などを目的に活動。荒れた分家を高齢者らの活動拠点として整備し、20年に岡縁里を本格オープンした。約700坪の敷地には畑や庭園があり、参加者は日直や食事当番など役割を担いながら、畑仕事や料理、手仕事など思い思いに過ごす。
カフェやイベントなども開かれており、飯野代表理事(69)は「いろんな人が関わって場をつくっていきたい」と話す。
「子どもの自立を支援する会SR会」(酒田)
不登校などの悩み相談
子どもの自立を支援する会SR会(酒田市、伊藤美智子代表)は、不登校などの子育てに関する悩みを抱える家族に、寄り添う活動を続けている。
会員4人は酒田一中の同級生だった。教育、医療、金融に携わった友人同士が、2018年3月の定年退職を機に設立した。活動の柱は講演会の開催で、子育てや教育現場について識者が講話する。もう一つの柱である相談活動は、相談者の悩みを聞き必要な支援につなげる。相談場所は会員宅の一軒家で、かしこまらない雰囲気づくりに努めている。ヤングケアラーに関するシンポジウムも企画中。高橋幸子副代表(64)は「子育てを自分ごととして捉え、地域ぐるみで守る」と意義を語った。
2022年度の援助・助成先を協議した選考委員会=9月30日、山形市・山形グランドホテル