愛の鳩賞
2022年度「愛の鳩賞贈呈式」が行われました
地域福祉活動に尽力した3団体をたたえた2022年度愛の鳩賞贈呈式=山形市・山形メディアタワー
愛の鳩賞(主催・公益財団法人山新放送愛の事業団、山形新聞、山形放送)の2022年度贈呈式が8日、山形市の山形メディアタワーで行われた。地域福祉の向上を目指し地道に活動を続けてきた、鶴岡南高JRC部(鶴岡市)▽朗読ボランティアたんぽぽ会(天童市)▽まごころ給食サービス(南陽市)−の3団体をたたえた。
受賞した3団体は、県民から寄せられた推薦6件の中から選ばれた。JRC部は障害児との交流や災害支援など時代に合わせて多彩な活動を展開。たんぽぽ会は市報を音訳してCDにし、視覚障害者に届けている。まごころ給食サービスは1人暮らしの高齢者らに弁当を配達し、安否も確認している。
2022年度「愛の鳩賞」に県内の3団体が選ばれた。鶴岡南高JRC部(鶴岡市)は1979(昭和54)年の発足以来、地域住民と関わりながら募金や災害支援、障害児との交流といった多彩な活動を行っている。朗読ボランティアたんぽぽ会(天童市)は、77年から市報「てんどう」を音訳する「声の広報」に取り組み、CDに録音して希望する視覚障害者に届けている。まごころ給食サービス(南陽市)は、1人暮らしの高齢者や障害者を対象に栄養バランスが取れた弁当を作り、定期的に配達して安否確認も担っている。
公益財団法人山新放送愛の事業団と山形新聞、山形放送が主催する「愛の鳩賞」は、地域福祉の向上を目指して地道な努力を続ける個人・団体を1980年度から顕彰している。22年度の選考委員会が11月16日に山形市の山形グランドホテルで開かれ、推薦があった6件を審査。実績や自主性、活動が定着しているかなどを基準に協議した。受賞した3団体を紹介する。
鶴岡南高JRC部(鶴岡)−学校全体に活動の輪広げ
鶴岡市の鶴岡南高JRC(青少年赤十字)部は、時代のニーズに合わせてさまざまな奉仕活動に取り組んでいる。「ボランティア精神が学校全体に広がっていくこと」を目標に掲げ、部員以外の生徒にも積極的に参加を呼びかけている。
1979(昭和54)年に発足し、現在は1〜3年生12人が所属する。週1回のペースでミーティングし、福祉や教育支援の各種募金のほか、市社会福祉協議会などの活動に協力。最近は使用済み切手の販売を通して世界の子どもにワクチンを贈る取り組みを支援したり、障害のある子どもたちと交流したりしている。
「自分たちがやりたいと思う活動を探すことが大切だと思っている」と副部長の2年村岡美奈子さん(17)。部全体として「楽しむ」ことを心掛けており、部員同士のコミュニケーションも大切にしながら息の長い活動につなげている。
歴代の部員たちは、友人を誘いながら活動の輪を広げてきた。2年前からは、より多くの生徒に参加してもらうため、各種ボラティア活動への参加を促すポスター作りにも取り組んだ。
発足から43年。「心と心の交流で温かい気持ちになれること」などがやりがいという。2024年度には県立庄内中高一貫校「致道館(仮称)」として新たなスタートを切る。部長の2年本間麻菜佳さん(17)は「ボランティアは積み重ねが大切。人と人との信頼関係を築きながら活動をさらに広げていきたい」と力を込めた。
朗読ボランティアたんぽぽ会(天童)−障害者へ声で市報届ける
天童市の「朗読ボランティアたんぽぽ会」(菅野章子会長)は、市報を朗読してCDに収録、視覚障害者へ送っている。試行錯誤を繰り返しながら取り組んできた活動は今年で45年目。温かい声で届けられる毎月2回の音訳に、市内の利用者15人からは感謝の言葉が寄せられている。
同会は1977(昭和52)年、「市報の音訳テープを制作してほしい」という視覚障害者からの要望に、前会長の石川久江さん(故人)らが応え、ボランティア活動をスタートさせた。80年に「たんぽぽ会」と正式命名。現在は市内の50〜70代の女性10人が、市総合福祉センターを拠点に活動を続けている。
毎月1、15日に発行される市報の原稿から、利用者に必要な情報を選び録音。間違いがないかをチェックした上で、パソコンで音質や音量を調整してCD化する。会員がローテーションで読み手などの役割を分担しており、正月やお盆の期間でも一度も休まず続けてきた。
ほかにも、市議会だよりや市社会福祉協議会だよりの朗読テープを年4回ずつ作成。朗読では、文章を正確に読み上げるだけでなく、「−をご覧ください」という部分は「−をご確認ください」と言い換えるなど言葉にも気を配る。
菅野会長は「利用してくださる皆さんがいるから活動を続けてこられた。素人集団だが、少しでも目の不自由な方の役に立つことができればうれしい」と話していた。
まごころ給食サービス(南陽)−栄養と価格考え弁当提供
南陽市のまごころ給食サービスは、高齢者や障害者に栄養バランスを考えた弁当を低価格で届けている。利用者からの評判も良く、信頼を得ながら、10年以上地域に根ざした食の支援活動を続けている。
福祉施設を定年退職した女性3人が2012年、栄養バランスの取れた弁当を独り暮らしの高齢者や障害者に低価格で届けることができないかと、地域貢献の一環で立ち上げた。現在のメンバーはみんなボランティアで、全員女性の調理班15人と、配達班8人(女性2人)で活動している。
買い物や調理の支援が必要な高齢者や障害者約40人に月2回、昼食時に手作りの弁当を届けている。利用者のほとんどは高齢者で、不足しがちなタンパク質とカルシウムが効果的に摂取でき、1食700キロカロリーになるよう、管理栄養士のメンバーが毎回、工夫を凝らして献立を作成している。
利用者に異変があった場合はケアマネジャーや社会福祉協議会などと連携するなど、訪問時のコミュニケーションは“地域の見守り隊”としても機能。一方で心待ちにしてる利用者も多く、こうした人たちからの「いつもおいしくいただいている」「ありがとう」といった感謝の声は、活動の原動力になっている。
中心メンバーの竹田俊子さんは「今後も利用者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、多くの人に声掛けし、メンバーを拡充しながら活動を継続していきたい」と意気込みを語っている。