事業内容

愛の鳩賞[平成25年度]

(2013年12月4日 山形新聞)
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2013年度の「愛の鳩賞」に輝いたのは県内の2団体1個人。酒田市高校生ボランティアサークル「かざみどり」(酒田市)は、30年にわたり福祉施設訪問や募金活動を展開し、まちづくりに貢献。NPO法人スマイルハウス(米沢市)は子育てサロンを無料開放するほか、東日本大震災後は避難者を対象にしたお茶会なども開催している。布施美津子さん(西川町)は障害者に絵画指導し、個展も開かせた。

「愛の鳩賞」は公益財団法人山新放送愛の事業団と、山形新聞、山形放送が主催し、地域福祉に尽くす個人・団体を顕彰している。本年度の選考委員会は11月21日、山形グランドホテル(山形市)で開かれ、推薦があった13件を審査。活動実績や広がり、自主性などを検討した。受賞者・団体のプロフィルを紹介する。

酒田市高校生ボランティアサークル「かざみどり」−施設訪問など、得意分野を生かして

活動風景

酒田市高校生ボランティアサークル「かざみどり」は地域社会との連帯を強めようと1983(昭和58)年にスタートした。幼児や学童保育、高齢者福祉の各関連施設を訪問して利用者と触れ合い、施設スタッフを手伝っている。市のイベントにも積極的に関わり、募金活動にも力を入れる。

メンバーは市在住か市内の学校に通う高校生。2013年度は2〜3年生18人が登録し「できることから始めよう」と取り組んできた。活動は週末と長期休暇が中心で、打ち合わせ会を市中央公民館で随時開催。地域で活躍できる人材になろうと、イラストなどそれぞれの得意分野を生かして内容を深めている。

0歳児を抱っこしてあやすこともあれば、園庭の草むしりをすることも。市生涯学習まつりには恒例のチャリティーカフェを出店し、収益を市社会福祉協議会に寄付している。お年寄りとはタオルを使った体操で一緒に体を動かした。初めは利用者との会話に戸惑ったが、季節や天気の話題を糸口にするこつを身に付けたという。酒田西高2年の舟越望さん(16)は「早起きや猛暑の中の活動は大変だけど達成感は格別」と振り返る。

酒田南高2年の鈴木夕貴さん(17)は「学校以外の仲間との活動が楽しい。さまざまな年代と交流できるのも魅力」、酒田西高2年の佐藤美紗さん(16)は「活動を通じもっと酒田のことを知りたいし、多くの人とつながりたい」と思いを語った。

NPO法人「スマイルハウス」(米沢)−子育て支援、新米ママの強い味方

活動風景

子どもの一時預かりや派遣託児、子育て情報の発信などに取り組むNPO法人「スマイルハウス」(米沢市、草苅美紀代表)。子育て中の母親が気軽に頼ることのできる存在で、中でも新米ママたちから大きな信頼を集めている。

発足は2001年で、育児サークルの友人たちで子育て支援グループを結成。06年にNPO法人となり、現在は12人のスタッフが所属している。母親向けの育児講習会やイベントが開催される際には会場での出張託児を担うほか、父母を対象とした子育てサロンを平日に開くなどしている。

東日本大震災後から約1年間は、福島県から避難してきた母子を対象に紙おむつを無料提供するなど積極的な支援を展開。草苅代表は「福島のお母さんだからとか、地震が原因ということは関係なく、今米沢で子育てをしているお母さんたちが困っているのを見過ごせなかった」と語る。

子育て支援センターや保育園の整備など行政による支援体制は徐々に拡充しているものの、サービスを十分に受けられていない親子がいるのも事実。育児は貴重な経験だが、母親が時にストレスを感じてしまうこともある。そんな時に手を差し伸べられる存在であることを、スタッフたちは心掛けている。

草苅代表は「私たちの活動で、米沢での子育てが少しでも楽しいものになってくれたらうれしい。ママたちにとって敷居が低い団体であり続けたい」と話している。

障害者に芸術指導、布施美津子さん(西川)−作品展も企画、作る喜び分かち合う

活動風景

独学で芸術創作に励んでいる西川町間沢、農業布施美津子さん(67)。県総合美術展で20年以上にわたり連続入選している芸術家で、1990年から、心身障害者や高齢者が利用する福祉施設を訪問し、無償で絵画指導などのボランティア活動を続けている。

寒河江市の知的障害者更生施設「さくらんぼ共生園」での利用者との触れ合いがきっかけで指導を始めた。「優しくて素直なみんなのことが大好き」といい、愛情は人一倍。一人一人の名前を呼び、声を掛け、作品の良さを褒める姿勢で心を通わせている。

他にも、救護施設県立泉荘(長井市)など数々の障害者福祉施設に出向き、粘土細工、絵画、習字、塗り絵といった創作活動を手助けしてきた。障害者の持つ才能を発掘し、世間に普及させる「エイブルアート山形」の活動にも携わり、芸術家の原石探し、作品展の企画などに尽力する。

見た目の色や形にとらわれず、鉄くずや布の切れ端など、何でも素材に取り入れてしまうのが布施さんの作風。自分で持ち込んだ木の板に絵を描かせたりすることもあり、施設の女性職員は「決まった様式にとらわれない指導が利用者に合ってる。自由な作品作りを皆楽しんでいる」と話す。

布施さんは「目を見張るような作品を作ってみせたり、独創的な絵画を描いたりと、逆に私の方がたくさんのことを教わっている。そんな機会を与えてくれる施設や利用者の皆さんに感謝している」と語った。

鳩マーク