事業内容

愛の鳩賞

2019年度「愛の鳩賞の贈呈式」が行われました

3団体をたたえた愛の鳩賞贈呈式=山形市・山形メディアタワー
愛の鳩賞贈呈式

愛の鳩賞(主催・公益財団法人山新放送愛の事業団、山形新聞、山形放送)の2019年度贈呈式が5日、山形市の山形メディアタワーで行われ、地域福祉・ボランティア活動を地道に続けてきた「ぼらんてぃあひろば ぴよっこ宮内」(南陽市)、NPO法人きらりまめ・豆ネット(酒田市)、サークル「ひびき」(米沢市)の3団体をたたえた。

(2019年12月6日山形新聞)

受賞した3団体を紹介する。

「ぼらんてぃあひろば ぴよっこ宮内」(南陽)−活動通して児童が成長

活動風景
利用者と風船バレーボールで交流する「ぼらんてぃあひろば ぴよっこ宮内」の児童=南陽市・特別養護老人ホーム太陽の里ふたば

南陽市宮内小(淀野秀樹校長)の4〜6年生有志21人が参加する「ぼらんてぃあひろば ぴよっこ宮内」は今年、発足19年目を迎えた。市社会福祉協議会(山口明夫会長)が土曜日を中心として、多い時は月2〜3回の活動をコーディネート。児童は校外での多様な体験を通し、支え合う心の大切さを育んでいる。

発足のきっかけは2000年。同校と協議会のほか学区内の特別養護老人ホーム、市教育委員会、ボランティア団体の関係者が委員会を設けて協議を重ね、活動内容をメニュー化した。翌01年に誕生した「ぴよっこ宮内」がモデルとなり、サークルは市内の沖郷、荻(08年度から休止)、赤湯の各小学校にも広がった。

本年度は、地元宮内地区にある福祉施設や保育園訪問、朝市イベントでの販売協力、街頭での「赤い羽根共同募金」協力呼び掛け、1人暮らし高齢者世帯の雪かきボランティアなどが実施・計画されている。昨年8月の2度にわたる豪雨で被災した住民を励まそうと、今月3日には、2年続けて戸沢村を訪れ、被災者に鍋料理も振る舞った。

卒業生の中には保育士や理学療法士など、福祉のプロとして活躍する人も。淀野校長は「ぴよっこでの体験は児童に好影響をもたらし、児童会や各種行事を引っ張るリーダーを増やしてくれている」と、学校への波及効果を強調する。代表の6年奥田美佳さん(12)は「積極的な性格になれたのは、ぴよっこのおかげ」と笑顔を浮かべた。

NPO法人きらりまめ・豆ネット(酒田)−劇や枝豆栽培、力合わせ

活動風景
NPO法人きらりまめ・豆ネットの会員たち。茶話会はいつも話題と笑いが絶えない=酒田市・豊原公会堂

年齢を重ねても元気で楽しく暮らしていける地域にしたい−。酒田市北部の豊原地域を拠点に活動するNPO法人きらりまめ・豆ネットの根底にあるのは、この思いだ。少子高齢化による急速な人口減少でさまざまな住民組織の存続が難しくなっていく時代。布絵芝居や人形劇を行う「そんとき一座」と、高齢者の支え合い事業、清掃活動、休耕田を使った枝豆栽培を行う、四つの団体が力を合わせ、2015年に設立した。

「気軽に公演できるように」と命名した「そんとき一座」は、布絵や舞台装置も手作りし、楽しみながら練習を重ね公演している。昨年度は地元の保育園や介護予防講座のほか、市街地や田沢、松山地域にも出向き、計8回公演。ファンを増やす。

支え合いの福老会事業では休耕田でハスを栽培し、お盆前には各世帯にハスの花と葉を配り、喜ばれている。法人設立前に月1回だった体操体験は、毎週土曜に拡大。仲間との茶話会がセットになっており、いつも話題と笑いが絶えない。清掃活動では子どもたちの通学路や農道、水路の美化に努め、除雪ボランティアも行う。こうした活動を支えるのが、枝豆の栽培・販売事業が生む原資だ。資金面でも持続可能な仕組みを構築している。

楽しさが吸引力となり、会員53人のうち15人が地域外から通う。兵田藤吉会長(76)は「地域の人がみんな仲良く暮らし、その中で活気が湧いてくるよう続けていきたい」と話した。

サークル「ひびき」(米沢)−心こもった声を届ける

活動風景
心をこめて市の広報紙を読み上げる会員たち=米沢市すこやかセンター

「一段と寒くなりますが、風邪などひかれないようお大事にしてください」。会員が自分で考えたあいさつから収録が始まる。米沢市のサークル「ひびき」は20年にわたって、市の広報紙と社会福祉協議会機関紙の音訳業務を行い、視覚障害者に地元の情報を届け続けている。

かつて市広報課が音訳業務を担っていたが、1999年に市民から協力の申し出を受け、同課職員だった横谷美津子さん(67)=同市徳町=を初代会長にボランティアサークルが立ち上がった。現在は40〜70代の男女15人が、市すこやかセンターのボランティアルームで活動している。会員それぞれの生活に影響しないよう昼と夜の部に分かれ、毎月1日と15日に発行される「広報よねざわ」を分担して録音している。

16〜20ページある広報紙を全て読み上げると膨大な量になるため、再生時間が60分間に収まるように、事前に時間をかけて大事な情報を選び取る。収録していると言葉になまりが出ることもあるが、温かみを感じる要素の一つ。目の前に聞き手がいるかのように優しく語りかけている。

話をすることが好きな人が集まり、楽しみながら活動を続け、収録現場にはいつも笑顔があふれる。発足当初は23人の市民に録音テープを届けていたが、現在の希望者は7人まで減っているという。それでも会員たちは「1人でも楽しみに待ってくれている人がいるなら、心のこもった声を届け続けたい」と話した。

(2019年11月29日山形新聞)
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