助成事業
2021年度「愛の事業団福祉援助・助成の贈呈式」が行われました
県内20の施設、団体などに備品が贈られた山新放送愛の事業団福祉援助・助成贈呈式=山形市・山形メディアタワー
山新放送愛の事業団(理事長・寒河江浩二山形新聞社長)の2021年度福祉援助・助成の贈呈式が29日、山形市の山形メディアタワーで行われ、県内20の施設や団体などにノートパソコンや冷蔵庫、エアコンなどが贈られた。
福祉援助・助成決定一覧表
○施設・団体への助成
番号 | 地区 | 名称 | 品目 |
---|---|---|---|
1 | 山形市 | クローバーの会@やまがた | 拠点施設改修工事一式(階段室手摺り及び階段踏板滑り止め設置)、ノートパソコン2台 |
2 | 山形市 | 認定特定非営利活動法人 発達支援研究センター 「ワクワクひろば」 | 拠点施設外構工事一式(塀設置) |
3 | 山形市 | 特定非営利活動法人 うさぎ村 | エアコン2台(取付工事費込) |
4 | 寒河江市 | 特定非営利活動法人 たんぽぽ会 | 作業用折りたたみ椅子20脚 |
5 | 河北町 | 特定非営利活動法人 ご・ざぁーれ広場 |
ノートパソコン1台 |
6 | 米沢市 | 特定非営利活動法人 With優 | AED (自動体外式除細動器) 2台、 デスクトップパソコン1台、家庭用冷蔵庫1台 |
7 | 南陽市 | 特定非営利活動法人 花未来 | 職業用ミシン1台、職業用ミシン専用テーブル1台 |
8 | 酒田市 | 多機能福祉施設こもれび | ポータブル電源2台 |
○全県的な範囲の催事・行事大会・団体への助成
9 | 山形市 | 公益社団法人 認知症の人と家族の会山形県支部 | 大型液晶モニター1台、遠隔会議用スピーカー・マイクセット一式、インクジェット複合機1台 |
10 | 米沢市 | 胆道閉鎖症の子どもを守る会山形支部 | ベスト(名入り)20着、帽子(名入り)20個 |
11 | 鶴岡市 | 公益社団法人 日本オストミー協会山形県支部「庄内オストメイト家族会」 | ノートパソコン1台、インクジェットプリンター1台 |
12 | 山形市 | 県内の視覚障害者の皆さんへ | 点字カレンダー700部 |
○ボランティア活動・事業への助成
13 | 山形市 | 山形てのひら支援ネット | エコバック80個 |
14 | 寒河江市 | ぎぼうし落語の会 | 簡易バックボード 1台、のぼり旗2旒、紬はんてん(名入り)5着 |
15 | 上山市 | かみのやまこども食堂「かえる家」 | 業務用製氷機1台、業務用冷蔵庫1台(設置費込み) |
16 | 村山市 | ボランティアサポート村山・ みどりの会 |
テント2張り(天幕名入り)、ベースプレート2セット |
17 | 河北町 | 河北べにの里昔語りの会 | ポータブルワイヤレススピーカー・マイクセット一式、 作務衣12着 |
18 | 大江町 | ボランティアサークル 夢憧布(ぽけっと) |
ベスト(名入り) 60着、デジタルカメラ1台(メモリーカード付属)、ポスターペン149本 |
19 | 鶴岡市 | 鶴岡バイオリンサークル | バイオリン2挺、チェロ1挺 |
20 | 鶴岡市 | 要約筆記「おひさま」 | タブレット端末1台(専用スタイラスペン付属)、書画カメラ1台、プロジェクター1台 |
山新放送愛の事業団、山形新聞、山形放送は2021年度の福祉援助・助成先に、子どもたちの生活支援や福祉ボランティア活動に取り組む施設・団体など20件を決めた。それぞれの活動に応じて必要な品目を贈り、県民の善意を地域福祉の向上につなげる。
行政の目が行き届きにくい部分を民間サイドからサポートしようと、毎年続けている。今月1日に山形市の山形グランドホテルで選考委員会を開き、申請のあった21件について▽支援によってさらなる福祉の充実につながるか▽緊急性や必要性があるか―などの観点から議論した。
21年度援助・助成先のうち、5団体の活動を紹介する。
「かえる家」(上山)
子どもの孤食なくす
上山市のかみのやまこども食堂「かえる家(や)」は、萩生田充知子代表と祐司副代表の夫妻が運営する。長期休み中の小中学生たちの生活支援に向け、祐司副代表が住職を務める浄光寺を食事や学習、遊びの場として解放している。
孤食をなくすことをテーマに活動し、2017年に子ども食堂として現在の名称にした。学習支援や調理は地元住民らが手伝う。「遊びに来た子どもに『ご飯食べてけ』と言っていたような、昔の田舎のおばちゃんみたいなことをやっているだけ」と笑う充知子代表。現在はフードバンク活動も手掛けている。
贈呈品は業務用製氷機と冷蔵庫。「安全な食を提供するために活用したい」と語った。
「おひさま」(鶴岡)
文字通訳で情報支援
鶴岡市の要約筆記「おひさま」(今井美佳代表)は耳が不自由な人への情報支援に取り組んでいる。手書きの文字通訳として、会議や会話の内容をその場で書き起こし、コミュニケーションや社会参加を手助けしている。
酒田市のサークルで学んだメンバーが2013年春に立ち上げた。現在の会員は3人。中途失聴者や難聴者の支援に加え、担い手育成の講座も重ねている。
コロナ禍によるマスク着用で「口の動きを手がかりに話を読むことも難しくなった」と今井代表。高まるニーズに応えるため、贈呈品のタブレット端末やプロジェクターを生かし、社会的距離を保ちながらの文字通訳や、スクリーン投影など支援を充実させていく。
「ワクワクひろば」(山形)
障害ある子をサポート
山形市の認定NPO法人発達支援研究センター(細谷暁子代表)が運営する「ワクワクひろば」は、発達障害のある子どもや子育てに不安のある親をサポートしようと、2007年に開所した。
スタッフは作業療法士や心理士らを含む16人。1日10人を定員とし、現在は村山地域を中心に24人が利用する。絵本の読み聞かせやリズム遊び、運動などを通じ、得意分野を見つけ、集団生活での適応力を伸ばそうと取り組んでいる。
19年から保育所訪問事業も始め、情報を共有して連携を強化。細谷代表は「保護者支援も重視している。子どもが自分の気持ちを伝えられるようになるなど、一緒に成長を感じていけるのがうれしい」と話した。
「花未来」(南陽)
物作りを通じて交流
NPO法人「花未来」(南陽市、川合ひさ子理事長)は障害者の自立を支える活動や、高齢者の交流の場の提供に尽力している。
花未来は2000年に設立された。04年には地域支援学習センター「花工房」を開所し、縫製作業や機織りを通じて障害者の社会参加を支援。18年にオープンした介護予防事業施設「るーむ花」では65歳以上の要介護を受けていない市民を対象にソーイング教室などを展開している。花工房の通所者とるーむ花の参加者の間で交流活動も行っている。
花未来にはミシンとミシンテーブル各1台が助成される。川合理事長は「物作りを通じた交流に役立てたい」と語った。
「ぎぼうし落語の会」(寒河江)
人々に笑いを届ける
寒河江市のボランティア団体「ぎぼうし落語の会」(高橋和広会長)は落語好きの9人がメンバー。出前寄席と公演で人々に笑いと人情の機微を届けている。
2011年結成で、現在は40〜70代の男性4人と女性5人。出前寄席は依頼を受け町内会や老人クラブなどで開き、公演は年1回開催。「笑いや拍手がうれしい。冗談でも『日本一』なんて言われると舞い上がってしまう」と高橋会長。
出前寄席はコロナ禍で激減してしばらく開けていないが毎月2回の練習会で準備を続ける。11月には久々の開催が予定されている。
贈呈品の一つ、簡易バックボードは、落語に集中してもらうため高座の後ろに置く。より話芸に引き込むことができるか、腕の見せどころだ。
2021年度の福祉援助・助成先を協議した選考委員会=山形市・山形グランドホテル(山形新聞2021年10月22日)