事業内容

愛の鳩賞[平成26年度]

(2014年12月4日 山形新聞)

2014年度の「愛の鳩賞」に輝いたのは県内の2団体1個人。高畠町高校生ボランティアサークル「地球(テラ)」(高畠町)は、地域のイベントに欠かせない存在で、設立から30年目を迎えた。音訳ボランティア「音和(おとわ)の会」(寒河江市)は、中途視覚障害者向けに市広報誌などの音訳を手掛けている。白幡康則さん(鶴岡市)は長年、庄内地方の引きこもり支援の中核を担い続けている。

「愛の鳩賞」は公益財団法人山新放送愛の事業団と、山形新聞、山形放送が主催し、地域福祉に尽くす個人・団体を顕彰している。本年度の選考委員会は11月20日、山形グランドホテル(山形市)で開かれ、推薦があった9件を審査。活動実績や広がり、自主性などを検討した。受賞者・団体のプロフィルを紹介する。

高校生ボランティアサークル 地球(テラ)(高畠)−笑顔でイベント支える

活動風景

高畠町高校生ボランティアサークル「地球(テラ)」は、町内を中心に年間40回以上のボランティア活動を繰り広げている。高校生らしい元気な姿が、地域のイベントに欠かせない存在になっている。

高校生が地域貢献をしながら町の文化や伝統を知るために1984(昭和59)年に設立され、現在は72人が加入している。サークル名は、地球規模で活動を拡大させよう、という願いを込め、1兆の単位を意味する「テラ」という読み方にした。町内在住か、高畠高に通う高校生が会員で、本年度は全員が高畠高生だ。

メンバーは町内や置賜地方で開かれるイベントで、主催者からの依頼を受けてスタッフとして活躍する。町の成人式で来賓に対応することもあれば、地区公民館のイベントで子どもと一緒に遊ぶことも。3年佐藤舞祐代表(18)は「さまざまな世代の人と接することができ、学校で体験できないことが経験できる」とやりがいを強調する。

月に1回、定例会を開いて活動を振り返り、改善点があれば翌月からの取り組みに生かす。3年高橋芙美香副代表(17)は「主催者側は、私たちを一人のスタッフとして見ている。責任を持ってやることを心掛けています」と力を込める。幅広い年代の人たちと接する中で「また来てほしいと言われるのがうれしい」と3年五十嵐瑠菜副代表(18)。設立30年の節目を迎え、佐藤代表は「今後も人の役に立てるように頑張りたい」と話した。

広報紙など音訳 音和の会(寒河江)−なまり生かして温かく

活動風景

寒河江市内の中途視覚障害者向けに市広報誌などの音訳を手掛けているボランティア団体「音和の会」。人生の途中で光を失ってしまった人たちに、地元ならではの温かさがにじみ出る言葉で地域の情報を伝えている。

同会は市社会福祉協議会が主催する音訳のボランティア講習会に参加したメンバーが中心となり、2000年4月に結成。60〜70代の7人で活動し、月2回の市報発行日に合わせ、12〜24ページを手分けして作業に当たる。利用者は現在10人。話し方は、あえて地元なまりの声を生かし、親しみやすさを込めている。

録音は各自、家に持ち帰って“内職”し、発行日から最短3日で、90〜120分のテープに編集する。最も気を付けるのは録音時の雑音。空調もつけず、家族が寝静まった時など静かな環境の下で行う。単に読むだけでなく、伝えることの難しさもある。特に表紙を飾る写真の説明は力が入る。代表の阿部和歌子さん(75)は「利用者が、かつて見た情景を思い浮かべることができるように言葉を選んでいる」と話す。

柏倉敏子さん(66)、安彦由美子さん(65)、早坂トヨコさん(75)は「利用者から楽しみに待っているという感想を聞くと、やってきて良かったと思う」と語り「読むのが早すぎても遅すぎても聞き取りにくく、常に自問自答している。続けてこられたのは仲間のおかげ」。4人は「体が丈夫な限り、続けていきたい」と口をそろえた。

引きこもり支援 白幡康則さん(鶴岡)−会話欠かさず向き合う

活動風景

鶴岡市日枝の白幡康則さん(79)は、不登校の子どもや発達障害に悩む人の社会復帰を目指し、長年庄内地方の引きこもり支援の中核を担ってきた。慌てず、諦めずに付き合うをモットーに、困難を抱える本人と家族に寄り添っている。

白幡さんは1995年に定年退職するまで38年間、庄内地方の小学校に勤務。不登校への認知度が低かった30年ほど前から児童と向き合い、退職後も保護者らの相談や支援を続けた。

こうした中、引きこもる大人への助けも必要だと感じ2004年、自立支援センターふきのとうを設立。仕事体験や勉強会の開催、関係機関との連携強化に務めた。ことし4月には、発達障害者の就労と自立支援を強化するため多機能型事業所「いちほ」を開設した。

いちほには18〜39歳の計14人が通い、得意分野を見つけて就職に生かそうと情報誌のちらし折り込み・配達や畑作業などに取り組む。白幡さんは、利用者との仕事話や何げない会話を欠かさない。「コミュニケーション能力は職業人にとって不可欠」と強調する。

また、施設に来るまで説得に何カ月もかかった人もいると振り返り「じっくり向き合えば、必ず心を開いてくれる。出会った約3割の人は、しっかり社会で生活している」と語った。

受賞に際し「まだ悩みを抱え込んでいる人が大勢いることを忘れてはいけない」と気を引き締め、「1人でも多く助けられるよう努力したい」と話した。

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